GWに世界遺産熊野参詣道のひとつ霊山高野山から熊野三山へ繋がる小辺路ルートを最近山岳アクティビティの中で話題のファストパッキングというスタイルで縦走旅と三山を巡る熊野詣を体験してきました。

今回のチャレンジと旅路の経験で感じたこと得たこと、またなぜ重たい荷物を担ぎわざわざ走るのか・・
ロングトレイルは私たちがPXに取り組むにあたって様々な要素が凝縮された絶好の実験の場であると改めて感じたので、少しこのアクティビティの紹介とともに皆様に少しでも役に立てばと報告させて頂こうと思いました。

まずファストパッキングとは?簡単に説明すると従来のバックパッキング登山と山の中を走るトレイルランニングの要素を融合させた登山スタイル、衣食住の登山装備を究極に軽量化し担ぎながらトレイルランナーのごとく山の中をかっ飛ばします。
登山に比べよりスピーディーな行動で短い日数でより長距離の山旅を行うアクティビティーです。
このスタイルを取り入れた競技としてウルトラマラソン、OMM、アドベンチャーレースのような鉄人系レースがあります。

まだまだ初心者の私が偉そうに語るのも気が引けますが、体験していつも思う事なのですがハードな自然環境でのロングトレイル縦走はまさにぎゅっと凝縮された人生の縮図!人生は旅、旅は人生そのものという言葉を実感します。
と言うこともありファストパッキングへのチャレンジそのものがPXへの取り組みへとオーバーラップするように思います。

まずリスクを伴うファストパッキング旅の準備として全行程の衣食住と技量、持参装備などを考慮したプランニングと気候条件や累計高低差、脚力を想定したタイムスケジューリングを様々な情報収集とともに入念にする必要があります。

特に途中でトラブルが発生してもエスケープが困難な山旅においては命取りにもなりかねない重要な事前準備となります。登山より大けがや低体温症のリスクが高まるこのスタイルではなおさらなんですね(それでもなぜ走るのか・・?今は耳塞いでます)

自分が一日にどれだけ進めるのか超えていく山や地形を把握し、難易度や気候条件を考慮した上で体力・脚力と相談し、また休憩ポイントや水補給箇所を確認し時間を鑑みながら図ります。

そこからルート上にいくつかチェックポイントを決め各区間をどれぐらいで何時に通過できそうか、また日没時間から逆算し通過時間のデッドラインを決め、越えるようだとその時点で都度リスク回避を想定し予定変更など最良の判断を下せるようにしておく必要があるためです。

(机上で立てた計画通りに進むとこれがまた結構快感です)
最近この縦走計画思考が仕事やライフプランに効果的なフィードバックをもたらし始めてるように感じます。

次は荷物重量を最大限に軽量化するための工夫と激しい取捨選択に迫られます。
足場の悪い長距離と積み重なる累高低差を駆け抜けるので1kg増えるだけでも膝と体力にじわじわと負荷をかけるので、持参物に優先度を付け安全と安心のボーダーラインギリギリをせめぎ合わせながら取捨選択しながら総重量をそぎ落とす作業に頭を悩まし苦労します。
ビビッて色々用心したり決断できずにいるとあっという間に10kgオーバーとなります。
道中でエナジー切れになったら、、水が切れたら、、捻挫したら、、蜂や蛇に刺されたら、、化け狐に騙されたら、、などなど湧き出る不安との闘いいになります。

日々の生活でもこのコロナ渦において価値観や生き方など突然の大きな社会変化によってリセットされ何を選び捨て身軽になりその変化に対応していくのか、決められた人生の時間の中でできることは限られている、では少しでも後悔しないためにその大切な時間の中で何をするのか、何をしないのか、どれを持って先に進むのか、ここで手放すのか・・図らずも始まった自身の第2の人生の節目での判断とかぶり、涙とともに悩みに悩みながらパッキングしていきます。

それらの準備を整えたうえでいざ出発しても道中崩落個所があったり取得した情報と違っていたりと予期せぬトラブルも起き、無事日没までにトレイルから下山できるよう逆算しながら判断し対処してく必要が出てきます。

ただ登り降りの環境や景色、ルートの変化が目まぐるしくくねくねした先の見えないトレイルを進みながら目の前に現れる問題をクリアしてくのはドラクエ的なクエスト感もあり意外と楽しいんです。
へとへとになればそんな楽しい気持ちもも吹っ飛んでしまうんですが・・ただただゴールが恋しい

ロングトレイル旅では運が良ければ不思議ときつくなったところで思わぬ出会いがあったり、親切に恵まれホッとしたり、逆に体が冷え切ったり気持ちが萎えるほど疲れた時にはメンタルがやられひたすら孤独にさいなまれたり、辞めてしまいたい衝動に襲われたりなど様々な感情とストレートに向き合います。日常ではなかなか得られない価値ある体験が短い旅路の中で凝縮されて訪れます。

これこそが私の中でなぜこの危険でハードなアクティビティに向かわせるのかの答えなのだと思ってます。楽しみながら己をグイグイ追い込み、まるで修験者のような体験を経て体力の限りを尽くしやり切った(ゴールした)時の心の奥底からしびれる達成感はそれまでの長く辛い道のりの記憶を一瞬で吹き飛ばす破壊力があります。ビール一杯でもう全てチャラです

最後にタイトルにも記載したマインドフルネスですが、これは私がトレイルランニングを始めて気づいたことですが、トレラン=マインドフルネス体験だと感じてます。

横隔膜が上がり昔から呼吸が非常に浅い私は呼吸のリズムをとることがとても苦手で、意識しても深呼吸を続けられないので、禅修行など体験しても瞑想などうまく入り込めず心を整えるようなことがほとんどできずに”己と向き合う”というような体験というものがよく分からず悩んでいました。

ひょっとして自分は邪念の塊なのではないかと思ったり…

トレランは街の喧騒から離れ人のいない360度自然の中に分け入り、静まり返った山中のトレイルを走り続けます。なのでひたすら聞こえるのは自分の足音とゼーゼーしてる吐息だけ。

辛いので頭は余計なことを考える余裕は無く、必死に体中の筋肉に酸素を取り込む作業が続くのですが、走りながら一定のリズムを刻むとこの唯一聞こえる自分の呼吸音に自ずと集中していく状態になります。

その上で走っていることで脳内からも様々なポジティブホルモンが放出されランナーズハイのような状態と相まり頭が何となく瞑想状態に入ります。ロードと違うところはこの時に自分が自然と調和し一体になったような不思議な気持ちよさを味わう事があります。

身体にもそうですが脳にも長時間フレッシュな酸素が取り込まれ、邪念が取り払われるように頭の中がスカッと何もなくなりあらゆるストレスから解放され穏やかでフラットな状態になります。サウナ―でいうところの”ととのう”感覚にも近いものがあるように思います。

自分の心の声がとても良く聞き取れるようになり様々な問題がシンプルに解決したり判断に迷うことも少なくなってきたように思います。
まさに私にとってマインドフルネスへのアプローチ方法を見出すことができ、思わぬうれしい副産物をトレランがもたらしてくれました。
今では身体の健康よりメンタルヘルスへの効果の方が大きいのではと感じている次第です。

どんどん長くなってしまいましたが、ココロを整えてみたい方、改めて己と向き合ってみたい!と思っている方がおられましたら座禅など苦手でもこんなアプローチもございますので少しでも参考になれば幸いに思います。

*長くなったので今回は割愛しますが険しい熊野古道を歩み聖地三山を巡る熊野詣ではさすが神秘のパワースポット、不思議な体験も出てきます。少々スピリチュアルな世界観もありますが、いやはやそれでも”一度は詣でよ熊野の地”です。