約半年ぶりの投稿です!この半年はアート漬けの生活をしていました。ミシュランシェフとのプロジェクト、スペインのブランドとコラボしてのマドリッドファッションウィーク、直近では30点以上の新作を発表する個展などなど。

そして、今月号のForbes Japanに「私が肩書を変化し続ける理由」というタイトルで僕の仕事が紹介されたので今日は働き方について少し書きたいと思います。

僕の経歴は少し特徴的で、総合格闘家に始まり、投資ストラテジスト、テックエヴァンジェリスト、コンサルタント、アーティストと過去10年程の間に多種多様に様変わりしてきました。その間に3ヶ国語で4冊の本を書いたり、企業・大学などで講演活動も行ってきました。今でも格闘技で試合に出たりしていることもあり、Forbesのインタビューでもどうやって短時間で色々な成果を出すのかという質問を受けました。

パフォーマンスの最大化
僕の仕事における最も重要なプリンシパルはパフォーマンスの最大化です。この点が最大化されていれば、自分の提供する価値も自然と最大化されます。なので、自分の仕事の価値を最大化させるためにはパフォーマンスの最大化が必要で、そのパフォーマンスの最大化のために環境の構築やパートナーの選定を大事にしています。誤解を生みやすいので前書きしておくと、パフォーマンスの最大化とは、収入の最大化を第一に考えることではありません。自分の望む生き方の実現が最優先で、その上で経済的リターンを最大化させるという考え方です。

環境づくり
まず、自分のパフォーマンスを最大化させるための環境作りを非常に大切にしています。これには何時に寝て何時に起きる、コーヒーは1日何杯飲む、週に何回運動する、食事は何を食べるなど自分の精神面と体力面でパフォーマンスがいつ最大化されるかを色々なことを試しながら調べる必要があります。ただし、エクセルに記録するといった作業や、全てを正確に遂行するといった完璧主義は、それ自体がストレスになるのでしません。

日本のビジネスシーンでも繋がる例を出すと、僕は仕事の付き合いは精神的なストレスになるのでしません。また、お酒は翌日の体力に影響があるので、仕事相手とはお酒を飲みません。嫌な顔をされることも多々ありますが、そのうち「彼はああいう人」と理解され、誰にも何も言われなくなります。いつ・どこで・どのように仕事をするかは非常に大切で、最適な環境を作ることを最優先にします。

苦手なことはしない
また、苦手なことを徹底的にやらないようにしています。例えば、僕の場合は細かい作業や正確性を求められる作業が非常に苦手です。そういった作業はミスも増えますし、なにより作業自体が大きなストレスなので、そもそもパフォーマンスが低くなります。どんな仕事や作業でも好きでやっている人にはパフォーマンスで敵いません。なので、嫌な仕事は一切しない。そういった仕事はお金を払ってでも得意な人に任せ、自分がパフォーマンスを最大化出来ることに集中するようにしています。

価値観ベースな仕事
次に仕事をする相手の選定も非常に大切にしています。その際に重要視するのは、相手が自分の価値を深く理解しているかです。なぜなら、価値とは結局のところ相手の感じ方次第だからです。だからこそ、自分という人間の価値を理解出来る相手かどうかを見極めるのは自分の提供する価値を最大化する上で非常に大切です。お金をくれるかどうかではなく、自分と価値観を共有出来るかが基準になります。

例えば、あらかじめ自分の働き方を明確化し、それでも自分と働きたいという相手とだけ仕事をするようにしています。この点を理解してもらえない相手は所詮自分のことを利用したいだけなので、自分の仕事の価値も深く理解されません。特に自分の性格的にも大衆の共感を得ようとするといったことが苦手なので、大衆向けの価値提供はそもそも自分に合っていません。

実際、僕の仕事はアートもコンサルもニッチ向けです。ほとんどの人は僕のクライアントではないけど、一部に熱狂的なファンがいるといった具合です。お金のためだけ仕事をしたこともありますが、大抵の場合、トラブルが生じたり、相手の満足度が低かったりと良い結果に繋がりません。なので、最初からP&Lの最大化ではなく、まず価値の最大化、そこから経済規模の拡大を考えます。

ヨーロッパのブランディング的思考と格闘技
こうした考え方の背景には欧州におけるブランディングのあり方に影響を受けました。日本の場合は広告ドリブンで、いかに短期間で大衆の認知度を高め売り上げに繋げるかが重要視されますが、欧州のブランディングの考え方は中長期的な視点でいかに目に見えない付加価値を最大化するかです。広告ドリブンの場合、認知度や人気といった大衆受けが大事ですが、ブランドドリブンの場合は自分の世界観を確立することが肝で、全員に受け入れられる必要はありません。確かに自分の哲学を貫くことは時間と労力がかかりますが、その分、基盤を築いた後は付加価値の最大化を図ることが出来ます。

また、パフォーマンスという考え方は格闘技から強い影響を受けています。現在でもグラップリングという格闘技を続けており、2021年にはADCC Spain Nationalというスペインの国内大会でチャンピオンになることが出来ました。大学生の頃は総合格闘技を朝から晩までやっていたにも関わらず成果がいまいちでした。しかし、働きながらスポーツをすることで、どれだけ頑張ったかではなく、いかにパフォーマンスを最大化するかという発想が自然と生まれました。例えば、年齢を重ねると回復力は落ちますし、疲れているとパフォーマンスもいまいちです。だからこそ、休息を取ることも大事ですし、いかに集中力を高めるかという点も非常に大切になります。

こうした働き方がどれだけの人の参考になるかは分かりませんが、一つのオプションとして考えてみるもアリではないでしょうか?