今でこそスペイン語、英語、日本語でビジネス&生活をしていますが、もともと語学が得意だったわけではありません。

大学一年時の夏季海外研修では一番下のグループで、しかも学年で唯一、海外研修の単位を取れませんでした。もちろん、英語のクラスは落第・再履修でしたし、初めてTOEFLを受けた際も46点(120点満点中)と、海外留学など夢のまた夢といったレベルでした。ちなみに大学一年のGPAは0.95で学年最下位。全て可でも1.0なので、大学時代の僕がいかに落ちこぼれだったかが伝わると思います。

スペイン語も第二外国語で履修したものの、やはり落第・再履修。周囲の誰も僕がスペインに移住するとは思っていなかったことでしょう。スペインに来た当時もHolaとCervez(ビール)くらいしか理解出来ずにいました。

そんな僕ですが、今ではスペイン語や英語でビジネスをし、講演やインタビューにも答えるようになりました。とは言っても、語学学校に行ったわけではありません。そこで今日は、社会人が語学を最速でマスターするには?というテーマで書いてみたいと思います。

スペイン語のインタビュー

英語のインタビュー


目的意識を明確にする
語学学習で最も頻繁に落ちる罠が「漠然と○○語をマスターしたい!」というアプローチです。だからこそ、何のために外国語を学びたいのかという目的意識をハッキリとさせると、驚くほど急速に言語をマスターすることが出来ます。しかし、ここでいうマスターとは全てが分かるようになるということではありません。自分の目的を達成するために言葉を使いこなせるようになるという意味です。

僕の感覚から言うと一番難しいのは日常会話です。なぜなら、テーマが絞れないこと、ハッキリと発音しないこと、スラング等の言い回しが多いなど、イレギュラーなことが多いからです。

一方でビジネスは実は一番上達が早いジャンルです。なぜなら、業界や状況によっておおよそ話す内容が決まるからです。例えば、金融業界であれば食材の話などまず出て来ません。食材の名前を一つも知らなくても金融の話は出来るようになります。何より自分のビジネスの領域ですから分からない単語があっても話している内容はおおまか分かります。

逆に友達や彼氏・彼女が欲しいということであれば、専門用語や難しい文法など覚える必要は一切ありません。それよりも感情を表す単語や表現、もしくは身の回りのことの方が重要になります。

こんな風に目的意識をハッキリとさせることで、自分にとって必要な単語や表現がハッキリとします。なので、使いもしない単語や表現を覚えるのに時間を使うなんてことが避けられます。

また、言葉は必ず他の単語と一緒に使います。つまり、テーマや用途が絞れていれば、数珠つなぎのように自分のボキャブラリーや表現を増やせるので、関連性のないテーマを沢山覚えようとするよりも圧倒的に早くマスター出来るのです。

文法よりも文章を覚える
意外かもしれないですが、文法を覚えるのは一番最後にしています。それよりも大事ににしているのは、文章を塊りで覚えることです。

例えば、自分の自己紹介文を日本語で書き、それをネイティブに訳してもらいます。その文章を丸ごと全文暗記するのです。その際に文法がどうなど考える必要はありません。とにかく、文章の塊を覚える作業をしていくのです。文章を暗記した後は、どういった表現がどういった言葉でされているのかを理解するために分解していき理解を深めていきます。Upworkなどのプラットフォームを使えば世界中のフリーランサーが見つけられるので簡単に翻訳することが可能です。

色んな文章の塊を覚えていくと、脳が勝手にパターンを認識するようになるのと、どんな表現や単語が、どういった表現や単語の前後で使われるかを自然と理解出来るようになります。一方で単語や文法から入ると、個々の単語や表現が繋がっていないため、いちいち日本語から他の言語に訳そうとして表現としておかしかったり、相手に伝わらなかったりするのです。

言葉はコミュニケーションの道具ですから大事なのは相手に伝えることで、知っている単語の数や難易度の高い文法ではありません。だからこそ、文章を塊で覚えるのは即効性があります。覚えた文章を塊で覚えたら、そのあとは分解してそれぞれのフレーズや単語を他の用途に応用していくことで、一気に使いこなす幅が広がります。

テクノロジーを活用する
言語をマスターする上で間違いなく役立つツールがWhatsappです。日本だとLineを使っている人がほとんどですが、海外ではWhatsapp(西欧圏)やTelegram(東欧圏)が主流です。なので欧米圏の人と話す際はこうしたアプリがあると便利です。

こういったアプリの何が良いかというと、短い区切りで会話が進められる点です。自分が書いた文章が分からなければ相手からすぐにフィードバックがもらえますし、相手の言っていることが分からなければ、ネットで調べたりして、実際にどういった言葉や表現がどういった状況で使われているかを体験を通して学ぶことが出来るのです。

英会話教室なんてものがあるように外国人と対面で話すのが言語マスターの近道に感じるかもしれませんが、隠れたベストツールは間違いなくWhatsapp/Telegramです。

もちろん、そもそも話す相手を探す必要がありますが、現代であればソーシャルメディアやアプリなどで人と知り合うことは非常に簡単です。自分の興味があるジャンルのコミュニティや集まりに参加すれば性別年齢問わず簡単に話し相手は見つかります。また、Telegramであれば自分の近くにいるユーザーを探す機能もあるので、使ってみるのも面白いかもしれません。

さらにGoogle翻訳やDeepLといったアプリやサービスを使えば驚くほど正確に翻訳することが可能です。特殊なスラングを除けばかなりの精度で翻訳が出来ます。こういったテクノロジーを活用することでお金をかけずとも言語を練習することが可能です。

背筋を伸ばして大きな声で話す
学習法という点からすると意外かもしれませんが、言語を話す際の姿勢と声の声量はめちゃくちゃ大事です。色々な研究がありますが背筋を伸ばして話したり、身振りを大きくするだけでテスタストロンというホルモンが増し自信が高まるといいます。

言語学習の最大の敵は「間違えたらどうしよう、恥ずかしい」といった考えです。自信のなさから声が小さくなったり、声が小さくなると相手から「えっ?」聞き返されることが多くなったり、とより自信がくじけてしまいます。

だからこそ、間違えようがなんだろうが姿勢を正して大きな声で話すことが大事です。そして大事なのは、間違えたらどんどん指摘してもらうことです。そもそも外国語を話しているのだからミスがあって当然です。間違えることを気にしたり怖がる必要は全くないのです。がんがん間違えて相手に直してもらえば無料で添削してもらうのと同じ価値があります。

馬鹿馬鹿しいかもしれないですが、背筋を伸ばして大きな声で話すだけで自分のコミットメントも増え、相手にとっても聞き取りやすく、言語学習の効率は大きく高まります。

人前で話す機会をつくる
僕自身が言語学習をする上で最も役立ったのはカンファレンスでのプレゼンやイベントでの講演です。人前で話す機会が沢山あったことで、文章を塊で覚える機会が増えた他、人前で話す度胸がつき一石二鳥です。また、質疑応答などを通して色んな人と意見交換することが出来たりと個別で話すのとは違った体験が出来ます。

人前で話す機会なんかないよ!と思うかもしれませんが、ここでもテクノロジーを活用できます。MeetupやEventbrideでイベントを探したり、Instagram LiveやClubhouseを使ったりすれば、オフラインでもオンラインでもいくらでも人前で話す機会を作ることが可能です。

テーマも自分の好きなテーマを選べば好奇心から学習速度も増して効果抜群です。きっと最初の3~5回は苦戦し、聞いてる人も何を言ってるか分からないかもしれません。しかし、回数をこなせば次第に慣れてきます。

僕が初めてスペイン語の講演をした時はMeetupを使ってコミュニティを作り、人を集めてプレゼンしました。正直言ってその時の僕のスペイン語レベルは初心者に毛が生えた程度。多分、参加者のほとんどが理解するのに苦労したと思います。それでもどうにか伝えようとすることで、参加者の人が助けてくれたり、そこで新しい表現を覚えたりと体験を通して語学を学ぶことが出きました。

Podcastを使う
映画を見てリスニングを鍛えるという方法は広く認知されていると思います。しかし、ここでオススメしたいのはPodcastです。平たく言えばVoicyのような音声番組用のアプリです。海外のビジネスマンの間ではYoutubeよりも遥かにポピュラーなアプリです。

なぜ映画や動画ではなくPodcastかというと、ラジオのように音声のみなので、話者がしっかりと発音し、スラング等もあまり使わず、非常に聞き取りやすいからです。また、話すテーマも各回ごとにハッキリとしているので理解もしやすく、テーマに関連した単語や表現を覚えやすいことも挙げられます。

加えて、アプリの機能として、再生速度を変えられるので自分のレベルに合わせて聞き取りが出来たり、スリープタイマーがついているので寝る前に聞き流すことも出来たりと非常に便利です。

番組の長さも5分程度のものから2時間程度のものまで様々なので、自分のニーズに合わせて番組を選べばどこでも活用できます。

語学を学んで
3ヶ国語が話せるようになったことで間違いなく世界が広がりました。なによりも一つの国の考え方や生き方から解放されます。人の数だけ生き方や考え方はあり、言葉を話せるようになるだけで、多くの世界を体感することが出来る。これは旅行で海外に行くのとは大きな差です。言語は自分の人生を豊かにする最も強力なツールの一つ。ぜひ皆さんも試してみてはどうでしょうか?