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清野奨さん(ススムさん)アニューマ合同会社 代表 
9歳から独学でプログラミングを始め高校を中退して飲食店で勤務を経験して、飲食店コンサル会社でクリエイティブ業に従事した後、2014年にフリーランスのWebプログラマーとして独立。
2019年にデジタルマーケティングの会社「aniuma OÜ 」を北欧にあるエストニアで創業し、特定の住居を持たないデジタルノマドとして、リモートワークで世界中を働きながら旅をしている。WordPress書籍著者・LinkedIn Learning講師。

世界のどこかでまた会おう

GURUなき世界で生きるという選択
トロフィーではなく納得で生きる。
民主化された世界の中で、自分の役割を選び続けるということ。

9歳で触れた「全能感」
最初に聞いたのは、かなり早い原体験だった。
夜中、家族が寝静まったあとにリビングへ。
パソコンの前で、インターネットに触れていたという。

「海外のサイトとか掲示板を見ていて、“全部つながってる”って思ったんです」
さらに印象的だったのは、大学生とのチャットの話だ。
「普通に会話できちゃうんですよ。
9歳の自分からすると、それがすごく衝撃で」
場所も年齢も関係なく、世界とつながる感覚。
「これがあれば、なんでもできる気がしたんですよね」
ススムさんはそれを「全能感」と表現した。
同時に、UMA(未確認生物)にも惹かれていたという。
「まだ説明されていないものが好きだったんですよね」
正解がないもの、わからないまま残っているもの。
その興味は、このあとずっと一貫していく。
「正解」に対する違和感
しかし、その感覚は学校ではうまく機能しなかった。
自由研究でインターネットを使ってまとめた成果物は不合格だった。
「理由がよくわからなくて。“ダメだからダメ”みたいな」
努力ではなく、“型”で評価される世界。
「今でもちょっと引っかかってます」
この違和感は、そのまま消えずに残った。
フリーランス13年の積み重ね
その後のキャリアは一見バラバラだ。
飲食、店舗コンサル。
ただ、どこでも「作る側」にいた。
「頼まれると、とりあえずやってみる感じでした」
気づけば25歳で独立。
「そこから13年くらいですね」
特別な戦略があったわけではない。
だが積み重ねは確実に残っていた。

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ススムさんのYoutubeチャンネルより
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オーストリアでのLinkedInラーニング撮影風景

オープンソースという「民主化された世界」
転機となったのがオープンソースだった。
「最初は小さい修正を送っただけだったんですけど」
当時触れていたのは、WordPressのようなプロジェクトだったという。
世界中の開発者が関わり、日々アップデートされていく。
コードを送ると、
どこかの誰かがレビューし、改善し、さらに別の人の手で磨かれていく。
「これ、本当に会社じゃないんだよな」と思ったという。
そこには、それまでの仕事とはまったく違う構造があった。
• GURUがいない
• 誰かが支配しない
• みんなで作る
「みんなで少しずつ作るんです。誰のものでもない」
一人の天才が引っ張るわけでも、
強い権限を持つ誰かが決めるわけでもない。
それでも、いやそれだからこそ、プロダクトは進化していく。
それは技術の“民主化”だった。
一部の専門家だけでなく、
誰もが参加し、価値を生み出すことができる世界。
「お祭りみたいなんですよね」
役割は固定されず、
その時々で、できる人が、できることを持ち寄る。
気づけば大きな流れになっている。
「誰のものでもないけど、みんなのもの」という感覚。
さらに印象的だったのは、カンファレンスの仕組みだ。
「リーダーもずっと同じじゃなくて、2年くらいで交代するんです」
中心が固定されないように、意図的に役割を引き継ぐ文化。
権限が一箇所に蓄積されない設計。
だからこそ、コミュニティが健全に回り続ける。
“民主化”は、概念ではなく、実際の運用として根付いていた。
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エストニアでサウナから飛び出し川へ猛ダッシュ(全裸のようです。。)
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参加しているカンファレンスWordCamp Asia

「前に出ない」という選択
ススムさんの立ち位置もまた印象的だった。
「目立ちたいっていうのは、あまりないかもしれないです」
ただ、それは消極的ではない。
「必要なところをやるだけなんです」
お祭りで言えば、主役ではなく主催者。
前に出ないが、確実に成立させる側にいる。
飄々としているようでいて、
全体を見て役割を選んでいる。

結婚とタイでの10ヶ月
もう一つの転機は結婚だった。
「妻と世界を回ろうって決めたんです」

最初の目的地はタイ。
しかしそこでコロナによる足止め。
「こういうとき、あまりみんなと同じ動きをしないタイプなんで」
結果として、約10ヶ月滞在することになる。
「朝、海を見て、ちょっと働いて…」
その生活の中で、ある感覚が生まれる。
「もうこれでいいかもしれないなって」
何かを足さなくても満たされている。
その気づきは、静かで強かった。
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タイでの日常の仕事風景
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タイでの犬のボランティア

AIとの再接続
現在取り組んでいるのはAI。
「触ったとき、昔の感覚に近いと思いました」
誰もが使い、形にできる技術。
それもまた“民主化”だった。
「思ったことがそのまま形になる」
インターネット、オープンソース、AI。
すべてがつながる。

トロフィーより大事なもの
最後に聞いた。
「成し遂げたいことはありますか?」
少し考えて、こう答えた。
「トロフィーより、自分がちゃんとできたかの方が大事ですね」
外からの評価ではなく、自分の納得。

「やりきれたと思えれば、それでいいかなと」
その言葉は静かだが、揺るがなかった。
少し間を置いて、もう一つ聞いてみた。
「もし、明日が最後だとしたら、何を食べますか?」
少しだけ笑って、こう答える。
「納豆ご飯ですかね」
あまりに自然な答えに、思わずこちらも笑ってしまった。
でも同時に、どこか腑に落ちた気もしていた。
特別なものでもなく、誰かに誇るものでもない。
ただ、自分にとってしっくりくるものを選ぶ。
トロフィーを求めないということと、
その選択はどこかでつながっている気がした。
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ウルトラマラソン完走の後の写真とゴール後にアイアンマン挑戦Honda LabメンバーとのLINE通話の写真
インタビューを終えて
特別な肩書きがあるわけではない。
派手な成功でもない。
それでも強く残る。
GURUに依存せず、
民主化された世界の中で、
自分の役割を選び続ける。
そして最後に残る言葉。
「また世界のどこかで会おう(See you anywhere in the world)」
その言葉だけが、静かに残っていた。
interview by @みぃ  / @わか
Text by    @わか
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