シー・ユー・チェンという人間を知っているでしょうか?彼はナイキとギャップの日本一号店を作り、ユニクロのブランディングを成功させ、しかもユーミン(松任谷由実)の名付け親でもあります。1980年代にLAで作ったチャイナ・クラブはハリウッドで伝説的な人気を博し、あのアンディ・ウォーホールまでもが常連でした。その後、日本で誰もブランディングという概念を知らなかった時代に、スペースデザインから事業戦略まで包括的に行うクリエイティブエージェンシー、CIA(クリエイティブ・インテリジェンス・アソシエイツ)を創設。これまでにいくつも大型プロジェクトを成功させてきました。そんな日本のクリエイティブビジネスの生きる伝説であるシー・ユー・チェンさんに話を聞く機会がありました。

チェンさんは1980年にロサンゼルスで伝説のレストラン「チャイナクラブ」を創業されましたね。アメリカでビジネスを始めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

ニューヨークに比べて、当時のロサンゼルスは音楽やカウンターカルチャーの場が不足していたので、アートギャラリー、音楽パフォーマンス、健康的な中華料理店、バーなどをミックスした文化的な集いのラウンジをオープンすることにしました。アンディ・ウォーホルが毛沢東のジャケットを着てインタビュー誌の広告のポーズをとってくれましたね。壁画のデザインは、日本のイラストレーター佐藤ペーターがインテリアデザイナーの阿部三平氏と共同で担当しました。アートディレクターはエイプリル・グレイマン。映画、音楽、アートビジネスの関係者や、ヴァン・ヘイレン、トーキング・ヘッズ、キース・ヘリング、ロッド・スチュワート、ゴー・ゴス、デヴィッド・リー・ロス、レイ・チャールズ、デヴォ、スティーブ・マーティンなどの著名人が参加しています。

その後、東京でCIA(クリエイティブ・インテリジェンス・アソシエイツ)を設立されました。当初の目的は何だったのでしょうか?

1984年の東京はクリエイティビティに溢れていたので、建築、インテリアデザイン、アートディレクション、オペレーションのスペシャリストからなる総合スタジオを作ろうと考えました。プロジェクトのシナリオ、竹松のキャスティング、インテリアデザイナーのジョセフ・レンボによる映画制作のアプローチと同じ原理で、これまでに100以上のプロジェクトを生み出してきました。私の最も印象に残っているプロジェクトは、ナイジェル・コーツとの「メトロポール&ザ・ウォール」と「オペレーション・スペシャリストズ」のプロジェクトです。ナイジェル・コーツ、フレデリック・フィッシャー、ジョシュ・シュバイツァー、アルフレッド・アリバス、ユキハルなどの建築家と一緒に仕事をしたこと。

CIAは日本初のブランディングエージェンシーです。誰もブランディングとは何かを知らなかった時代に、ブランディングの概念をどう広めたのでしょうか?

プロトタイピングによる検証アプローチで、1998年にユニクロをアパレルディスカウントストアから小売業へと成長させることができました。それ以前は、ナイキやギャップの日本でのブランド構築のお手伝いをしていました。ユニクロの成功が認められると、日本の企業もユニクロの総合的なブランディングの重要性を理解してくれるようになりましたね。CIAではブランドDNAの定義、ブランドポジショニング、ブランドアイデンティティ、店舗アイデンティティデザイン、店舗デザイン、建築デザイン、オペレーションチューンナップ、プロトタイプ検証などの開発プロセスを統合した独自のアプローチをとっています。

フューチャープロトタイピングという非常にユニークなアプローチをされていますね。そのコアコンセプトを詳しく教えてください。

フューチャープロトタイピングとは、近未来の最も理想的な状態での顧客体験を仮説化し、それをプロトタイプ検証のプロセスで実現するというものです。この手法を応用して、青山フラワーマーケット、ピーチ・アビエーション、MUFGプライベートバンキング、上島珈琲、Oisixなど、多くの成功事例を生み出してきました。

なぜ企業は自分たちの未来をもっと考える必要があるのでしょうか?

私たちは、スマートインフラの構築、ソーシャルコミュニケーション、シンプルさ、小型化、コンパクトさ、安全性、スピード、高歩留まり、信頼性、低エネルギー、専門化ばかりを考えているポストムーア時代に生きています。例えば、今日のトレンドは、より速く、より革新的に、より儲けることにあります。しかし、最近の人々は、中長期的なビジョンが欠けています。なので私たちの教育では、分析力や批判的思考力、コミュニケーション能力を重視しています。

ビジネススクールのケーススタディを自分で作るとしたら、一番大切な教えは何でしょうか?

顧客体験によるプロトタイピング検証アプローチで仮説を実現することです。MITのサイエンスフィクションからサイエンスファブリケーションへのコースに似ています。機能的でリアルなプロトタイピング開発と改善プロセスを重視しています。私たちはマップメーカーです。既存の領域や未発見の領域、まだ発明されていない領域への地図をチャート化し製図しているのです。

チェンさんはチベットに行き、チベット仏教を学び、ダライ・ラマにもお会いになりました。その経験から何を学び、その経験はキャリアや人生をどのようなインパクトを与えましたか?

私はキリスト教の洗礼を受けていましたが、ダライ・ラマには4回お会いして、彼の考え方に惹かれました。ヒマラヤ山脈のトレッキングに多くの時間を費やし、チベットの僧院をたくさん訪れました。キリスト教では、必要なのは愛であり、チベット仏教では慈悲の心です。周りのすべてのものに感謝するようになります。

最後に20歳の自分自身に電話をかけることができるとしたら、どんなアドバイスをしますか?

自分の直感に耳を傾け、自分の心に従うこと。