第三弾は「新しい働き方」をテーマに、スタートアップに転職し、株式会社オーディオストックCFOを務める八木俊( @八木 俊 )さんにお話をお伺いしました。

15年間勤めた銀行を辞め、なぜベンチャー企業へ転職をしたのか?岡山在住の八木さんが自由を楽しみながら実現した「地方×スタートアップ×CFO」という新しい働き方とは?



株式会社オーディオストック CFO  八木俊さん

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岡山県で音楽系ITベンチャー企業である株式会社オーディオストック(Audiostock Inc.)CFOに2021年2月就任。前職では約15年間、地元岡山で銀行に勤務(個人・法人営業→金融商品企画・管理、各種コンサルティング営業→ベンチャー企業へ出向→上場支援コンサルティングと幅広い業務を経験)


なぜ、15年勤めた銀行を辞めてスタートアップに転職したのか?

―改めて八木さんのこれまでの経歴と、銀行からスタートアップの経営者に転職されたきっかけについて聞かせてください。

私は元々岡山の地方銀行に勤めていたのですが、銀行での15年間は学ぶことが多く非常に有意義だったと思っています。一方で、事業経営にもずっと興味がありました。銀行勤務時代にベンチャー企業へ出向する機会があったのですが、その際、銀行とはまた違ったやりがいや楽しさがあることを知り、この時にベンチャー企業への興味の高まりと事業経営への想いが再燃しました。これを機にスタートアップイベントに参加するようになり新たな道を模索するきっかけになったと思います。

新しい働き方を考え始めたのは、Honda Lab.に参加したことが一番のきっかけ

ちょうどそのころ、Honda Lab.に参加しまして、Lab.のメンバーにはすでに色んな面白い働き方をしている方がたくさんいることを知り、とても良い刺激になりました。
また、本田直之さんの本は以前からずっと読んでいて、時間や場所に縛られない生き方や、遊びと仕事の垣根のないライフスタイルへの憧れがあったのでLab.への参加は理想の人生に向けて一歩を踏み出す良いきっかけになったと思っています。
こうしてキャリアチェンジを考える中で、少しでも理想に近づけないかと模索していたところ、縁あって岡山のスタートアップ企業の経営に携わることになりました。

―実際にスタートアップに入られた八木さんの会社のことも、まだ詳しくご存知ない方もいると思いますので、ぜひ会社についても聞かせてください。

オーディオストックは、ミュージシャンや作曲家が生み出す音楽作品をお預かりして、オンラインプラットフォーム上で音源を必要とする方々にライセンス販売をするというのがメイン事業となっています。

世の中にはたくさんの音楽家がいるのですが、音楽だけで生計を立てられる人は、ほんの一握りしかいないのが現状です。オーディオストックでは、そんな音楽家の収益化支援を目指して事業を展開しています。現在、約2万組のクリエイターの方々にご登録いただいています。
またオーディオストックの音源は、個人の方だとYouTubeなどの動画配信時のBGMとしてご利用いただいたり、法人の場合には、TV番組などで使用いただいたりするなど、個人から法人まで様々なシーンで幅広いユーザーにご利用いただいています。

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今あらゆるものがテキストから動画等にリプレイスされてきている中で、無音の動画というのはほとんどありませんし、動画配信市場が盛り上がってきている中で音源需要は着実に高まってきていると思います。無料音源などもありますが、クオリティや、他の人と使っている曲がかぶるなど、動画にオリジナリティを出そうと思うとそこには課題があるのが現状かと思います。また、音源利用の際には、著作権関連に注意する必要がありますが、オーディオストックで取り扱う音源については、それらの課題をすべて解決できますし、追加の手続きなども必要ないため、利用者のみなさまに安心してご利用いただけているかと思います。

音源をご利用いただく方法は、単品で購入いただく方法と、定額制(サブスクリプション形式)で何度でもダウンロードいただける方法の2種類があります。その他にApple musicやSpotifyなどでBGM的に聴いてもらえるようなサービスも展開しています。

―実際に八木さんが新しい働き方にシフトされて良かったなと純粋に思うことと、思っていたのと違ったなというような部分はあるでしょうか。

スーツを着なくてよくなったというのは、すごくいいです(笑)。15年、よく着続けられたなと。以前はよく肩が凝っていたのですが、スーツを着なくなって本当に楽になりました。
今の仕事に変わって時間的な自由度は高まりました。自由だから仕事をしなくて良いというのではなくて、やりたいときには時間に縛られずに仕事に専念できるし、少し休みたいと思ったときには自分のための時間にするなど、時間の使い方の自由度が高まったというのは、すごく良いなと思っています。

また、今の職場になってから、場所に縛られないような働き方もある程度できるようになってきたので、パソコンやスマホと、ネット環境があれば、やろうと思えば好きなところで働けるのも、良い面かなと思っています。
一方で、僕はまだ転職して1年しか経っていませんが、最初のころは自由だからこそ際限なく仕事ができてしまって、メリハリをつける難しさ、やりすぎてしまうみたいなところはあったので、そこのコントロールを上手くできるようになることが重要なんだろうなと思っています。自由度が高いとスケジュール調整や自分で決めないといけないことも増えるので、それが苦手な人には向いてないのかもしれないなとは思います。

これから転職など、新しい挑戦をする方たちに向けてアドバイスがあれば、ぜひ聞かせてください。

僕の場合、実際に転職をしようと動いていたときには悩むことも多かったです。新しい道を模索する中で、「長年勤めた会社を辞める覚悟はあるのか」ということは、自分自身の中で何度も自問自答したと思います。一方で、自分が本当にやりたいことは何かというのを見つめ直す機会としてもすごく良かったですね。この機会に悩んで深く考えるという経験は、自分の成長にもつながりますし、人生を見つめなおす機会としても非常に有意義だと思うので、ぜひ経験して欲しいです。もし悩まれている方がいれば、自分の経験をシェアしていきたいなと思っています。

―今度は会社のことをお伺いさせてください。
海外投資家の方からの資金調達のリリース、また女優の今田美桜さんをイメージキャラクターに採用されたりと、話題には事欠かない様子ですが、そういった面での反響は、会社としてすごく大きいものだったのでしょうか。

そうですね、それなりに大きかったと思います。昨年の11月1日に定額制プランをリニューアルしまして、そのタイミングで今田美桜さんを起用したのですが、お問い合わせやホームページに訪れてくれる方は増えました。資金調達に関しては、地方ではケースとしてはそう多くはないので、リリース記事なども多くの方に読んでいただけたのではないかと思います。
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「世界最大級のストックミュージックサービス「Audiostock」シリーズCラウンドにおいてSIGをリードインベスターとした国内外の投資家から総額6.7億円の資金調達を実施」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000098.000008492.html
PRTIMESより(2021年11月24日リリース)

会社への応募は、全国から

―従業員の出身地や採用応募の状況についてはいかがでしょうか。

現在は岡山と東京にオフィスがあり、役職員数は30名超在籍しています。オーディオストックではリモート環境が整っているため、岡山県出身者は半数ほどで、あとは東京や神奈川をはじめ、日本各地にスタッフがいるほか、海外在住の方もいます。
なので、採用応募に関しても全国様々なところから応募いただいています。

―地方のスタートアップ業務に携わる中で、地方ならではと感じることはあるでしょうか。

地方は都市部に比べてベンチャー企業が少ないため、同じような立場の方々とコミュニケーションを取ったり、情報交換をしたりする場は都市部よりは少ないかなと個人的には感じています。なので、今はオンラインイベントやセミナーで情報のキャッチアップなどをするようにしています。
一方で、仕事をするうえでは、今これだけITが進化してきているので、地方であることのデメリットはあまりなくなってきているのではないかと思います。

スタッフ発案「雑談」でリモートワークの壁を超える

―リモートワークのチームメンバーが多数いる中で気づかれたこと、工夫されていることを聞かせてください。

オーディオストックは岡山オフィスと東京オフィスの2拠点あるのですが、フルリモートをしている役職員も多いため、よくzoomを活用してコミュニケーションを取っています。
ビジネスチャットを利用してのコミュニケーションは頻繁に行われていますが、テキストコミュニケーションだけだとうまく伝わらない、話した方が早いという場面もあるので、すぐにzoomでコミュニケーションを取れる体制を作っています。

ただ、それだけだと、どうしても本当に仕事に関係のある人としか話さなくなるので、会社として月に1回シャッフル雑談というのをzoomで行っていて、ランダムに構成された3~4人の役職員で30分間、どんな話題でも構わないので雑談するという会をやっています。そのほかにも会社のコミュニケーション促進を図る施策はいろいろやっていて、リモートワーク中心の労働環境ながら、メンバー間のコミュニケーションは非常に良好だなと感じます。

▼「雑談」で事業を加速させるオーディオストック、次は何を仕掛けるか?
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20211224-2236942

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CFOながら時間と場所の自由を確立した「新しい働き方」を実現したい

―仕事を通じて八木さんご自身が今後どんなライフスタイルを実現されていきたいのかを聞かせてください。

個人の人生の理想としては「時間と場所の自由というのを求めたい、実現したい」と思っています。今の会社で働き方の自由度が少し高まり、より自由度高く働けるような環境を作れる立場でもあると思うので、上手く設計していきたいなと考えています。
また、拠点は地元岡山に置きつつ、行きたいときに好きなところに行ける、という状況を作れることが理想かなと思っています。

―岡山県の魅力について聞かせてください。

岡山は「ちょうどいい田舎」だと僕は思っています。南の方に行けば穏やかな瀬戸内海の海が広がっていて、北の方に行けば山や高原などもあって、岡山は自然豊かなところだと思います。また山間部ではイノシシ猟なんかもやっていたりして、いろいろ楽しむことができるんです。
岡山市や倉敷市などの中心部はほどよく都会で、快適に過ごすことができますし、「晴れの国おかやま」と言われるだけあって、実際日本でいちばん雨の降らない県でも有名なんです。また、新幹線も通っていて、広島や兵庫にも出やすいし、縦のラインも鳥取や香川にも行けるし、地理的にもいいなと思っています。そういう意味では、何不自由なく過ごせることができてすごく良いと思います。

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【未来予測】近い将来、地方でもユニークな働き方ができるようになってくる

―地方でも起業や転職を目指している方はLab.にも多いと思います。どういった人材が求められるか、向いている人、気をつけた方がいいことがあれば、聞かせてください。

転職に関しては、最近地方の企業では、外部で経験を積んできた、専門知識を持った方が積極的に採用されている傾向があるように感じています。
具体的にどういうスキルを持っていたら有利かということは一概には言えませんが、おそらくどの分野においても専門的なスキルや経験など身につけてこられたものがあれば、転職機会は十分あると思います。各専門分野において、業務の一部だけができるという人よりは、業務全体の流れを把握してプロジェクト全体をお任せできる、かつ手も動かせるような人は重宝されるのかなと思います。

また気をつけるべき点としては、リソースの差などでしょうか。前職の銀行では組織を運営していくうえで必要になるリソースが当たり前のように揃っていたため、特に不便を感じるという場面はなかったのですが、ベンチャー企業では必要なリソースがすべて揃っていないということが起こり得ます。なので、そのあたりは注意しておいた方が良いですし、そういったことも含めて楽しめる人は向いているのではないかと思います。

新しい働き方という点においては、やはり都市部と比較すると、まだまだ伝統的な企業や働き方が多く、地方で自由度高く働きたいと思うと、一定の制約はあるかと思います。
ただ、働き方の自由度や、採用する人材の多様性などを重視する傾向は徐々に広がっていると感じていて、そう遠くない未来には地方でも働き方の自由度は上がってくるんじゃないかなと思っています。

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理想の生き方、働き方をしている人と会える。それがHonda Lab.

―Labに入られた経緯、入って影響を受けたこと、これからLab.に期待することを聞かせてください
Honda Lab.に入ったきっかけは、ナオさんがコミュニティを開くということで、ほとんど直感的に申し込みました。元々ナオさんの本をずっと読んでいて、自分の中で形成された人生の理想みたいなもの(時間と場所の自由)のいわばルーツでもあるので、これはチャンスだなと思いました。

また、Honda Lab.には同じマインドを持った方や、自分の理想とする働き方、人生を実現した方がいるんじゃないか、そういう方と出会えるかもしれないと思っていましたが、実際入ってみると想像していた以上にすごいメンバーが揃っていて、いつも刺激を受けています。あと、何より今の職場に転職をするかどうか悩んでいた時に、Honda Lab.に参加していたことは大いに背中を押してもらったかなと思っています。

Honda Lab.では、新しいことにチャレンジしている人が非常に多くて、それはナオさんの掲げている「人生は壮大な実験だ」というコンセプトに共感しているからだと思うのですが、僕もそこには大いに影響を受けていて、「迷ったら新しい方を選ぶ」というのを最近は特に意識して行動しています。僕は性格的に行動する前に考えすぎちゃう面があるのですが、考えすぎると動けなくなるので、最近はとりあえずやってみようというスタンスで何事にもチャレンジするようにしています。

Lab.でやっていきたいことは、ナオさんをはじめ、メンバーのみんなから刺激をもらいつつ、新しいことには継続的にチャレンジしていきたいと思っています。
また、Lab.では日々面白い何かが生まれているという印象があって、メンバーもどんどん増えているので、これからもっと面白いことが起こるのではないかといつも期待しています。

―ありがとうございます。最後に八木さんからLab.の方にお伝えしたいこと、メッセージをお願い致します。

Honda Lab.に入って1年以上経ちますが、まだ皆さんに直接お会いできていないので、近いうちにお会いしたいなと思っています。
お会いした時には、一緒に楽しく飲んだりしたいです。



今回の「Honda Lab. SPOT LIGHT」でも一度もお会いしたことがないと思えないぐらい、
いろんなお話を頂くことができました。
八木さん、貴重なお時間をありがとうございました!

今後もHonda Lab.メンバーへのインタビューを実施していきます。
どうぞお楽しみに!


Text by      @みぃ
interview   @Tomoya @みぃ
Support     @Yasuto