第23弾は、COMATSU  kitchen & bar 株式会社    COMATSU代表の松村宗孝(@コマツ )さんにお話をお伺いしました。

    福岡と東京で飲食店を12店舗経営し、福岡発のクラフトビール造りにも取り組むなど、お客さんや働く人に愛される松村さんの原点や仕事哲学とは。

COMATSU  kitchen & bar 株式会社 代表 松村宗孝さん

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COMATSU  kitchen & bar 株式会社を経営。福岡と東京で飲食店12店舗を経営する。福岡県岡崎町にてクラフトビール醸造所を設立し、「FUKUOKA CRAFT」の価値も発信する

一期一会の飲食サービスを通じて、人や街が賑わったり、集まる人が輝くコミュニティを創る

―ラボにはまだコマツ(松村さんのニックネーム)さんをあまりご存知でない方もいるので、今のお仕事からおうかがいしてもいいでしょうか。

    福岡を中心に色々な業態の飲食店を12店舗営んでいます。

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福岡県岡垣町にクラフトビールの醸造所とお酒も飲めるタップルームもあります。

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こうして他店舗の展開をしているわけですが、単に飲食店を営むのではなく、一期一会の飲食サービスを通じて、人や街が賑わったり、集まる人が輝くコミュニティを創ることを使命として、さまざまな店舗を展開させてもらっています。

―飲食業に入ったキッカケはどのようなものだったのでしょうか。

    実家が飲食店を営んでいて、子供ながらに「楽しそうだな」という気持ちはあったのですが、一度、アパレル業界に就職をしました。ただ、アパレル企業のグループに一部、飲食店の部署があって、そこの手伝いに行ったんですね。そうしたら楽しくて、「これだ!」と思って、飲食業界に戻ってきました。

―コマツさんが考える飲食業の一番の楽しさ、素晴らしさはどのようなことでしょうか。

    私自身、料理に興味があったわけではなく、接客が好きでこの仕事を続けているんですよね。

    飲食業の1番の楽しさは、サービスを楽しんでいただきながら、「ありがとう」と言われることですね。人間の根本には「喜んでもらえると嬉しい」という性質があると思うんですよね。そうした意味で、他の仕事よりもお客様に喜んでいただける、結果、自分も嬉しくなる機会が多い素敵な仕事だと思います。

多様な経験がアウトプットにつながる

―イギリスに渡航された経験もあるとお伺いしたのですが、どのようなキッカケで渡航されたんですか?

    20代前半にスコッチウイスキーにハマったことをキッカケに、イギリスやアイルランドのパブスタイルに憧れを抱いたんですね。当時の日本の良いバーは、七三分けで髪をピシッと整えて、タキシードを着ている、ホテルのようなバーが多く、お酒を飲みにいくにしてもハードルを感じるような状況だったんです。

    一方でイギリスのパブはちょうど良いフランクさで、人々の生活の一部になってていて、良い意味で溜まり場になっていて、その文化は素敵だなと。これを日本でもやってみたいなと思って、それなら本場の空気を感じないといけないと思い、数ヶ月イギリスに行きました。

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イギリス放浪時代。後ろに見えるのはエジンバラ城。

―帰国後はどのように展開されたのでしょうか。

    帰国後、本当はパブを開きたかったのですが、日本だとまだ難しいなと思って、料理の勉強をしたり、店舗の立ち上げをしました。立ち上げやお店は居酒屋、ラーメン屋など、ジャンルも形態もバラバラでしたね。決まりきったものを創るというよりは、「この場所にこういうお店があったら良いよね」と感じたものをどんどん創っていきました。その結果、このお仕事をどんどん好きになっていきましたね。

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創業の日

―違う業態でお店をオープンさせていくには、アイディアが必要だと思うのですが、そのアイディアはどのように生み出されているのでしょうか?

    毎日、ひたすら飲み歩いていたので、そのストックは大きいと思います。さすがにお酒の数は減ってきましたが、旅も好きなので、インプットした良い体験をアウトプットにつなげていることも多いです。

    飲み歩く時は、食事やお酒はもちろんなのですが、1番意識しているのは「スタッフさんの顔、顔つき、サービス」です。特にサービスをしていない時の顔が大好きで見ています。基本的に、接客してるときはプロなので、だいたいの人がニコニコしていると思うんです。でも心から仕事を楽しんでいて、本当に素敵だなと感じる人ってサービスをし終わった後もすごいいい顔をされているんです。それを見ると僕は胸がキューンとするんですよね。

    反対に、接客中はものすごく笑顔だったけど、振り向いた瞬間にすごい冷たい顔をしていると、「あれはサービス用の顔なんだった」と感じてしまって、少し冷めてしまうところはあります。もちろん、プロとしてそれはそれで良いのですが。(笑)

    そうした意味で、お店の方が創り出している空気が繁盛店につながるので、「何をやるか」も大切ですが、「誰とやるか」がより大切だと思っています。

    なので、お店をオープンするときも、ぼくたちが積極的に探すことはあまりなく、色々な提案をしていただいて、タイミングがあったり、良い人が集まっていたらやる、というような形でオープンすることが多いです。

〝人が輝けば店が輝く、店が輝けば街が輝く〟

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―コマツさんのお話をお伺いしていると、人とのつながりをすごく大切にされていると感じました。

    本当に人がすべてだと思っています。一緒に働ける期間は人ぞれぞれですが、人生で振り返った時にその期間って一瞬だと思っているんですよね。なので、その時間をなるべく大切にしたいといつも思っています。

    人それぞれ人生がありますから、当然、スタッフの仲間も、転職、起業をしていくわけですが、そうしたこともあまりネガティブには捉えていなくて、むしろ応援したいと思っています。だからこそ、一緒に働いている期間、フィフティーフィフティーの関係性で、お互いが良い時間にできたら良いなということはいつも思っています。

―そのような関係性は理想ですよね。採用で意識されていることはあるのですか?

    正直、求人はあまり力を入れてきてなくて、ようやく最近になって力を入れはじめているところです。

    それまでは本当にいろんな偶然や、誰かが連れてきてくれたりして、本当にご縁でやってきてくれる方が多かったです。特に、お店に来てくれていたお客様が仲間になってくれるのは嬉しいですね。そういう形でご縁できてくださる方が多いので、働いてくれる方の応援をしたいとはいつも思っています。

    会社を創業して13年ほどですが、大学生だった子がお母さんになって、子供を連れきたり、アルバイトの男の子が立派な社会人に遊びに来てくれたり、変化を一緒に楽しんでいけるのは本当に嬉しいですね。

    イギリスのパブ文化ではないですが、単に”お店”ではなく、コミュニティとして人々の生活の一部になっている場所を、福岡をはじめとして色々な場所に創っていければと思っています。

―次に採用ではなく、教育の部分もお伺いしたいのですが、会社として取り組まれていることはありますか?

    実はそこは何か決まったものはいないんです。マニュアルもないので、やってみせて寄り添ってあげることが多いですね。

    なので、お互いが気づいたことがあったら、グループミーティングをして、その都度話し合うことが多いです。最近は色々な事情であまりできていませんが、とにかく集まることが好きなので、「店長会議」「マネジャー会議」をしたり、以前は、みんなでキャンプをしたりはしていましたね。

―フラットな関係性がお伺いできます。

    やっぱり1日の中でも、仕事に費やす時間は大きいので「最高に楽しんで過ごしてほしい」ということが僕らのテーマなんです。もちろん人間ですがから、すべての人がどんなときも、めちゃくちゃ楽しいことはないかもしれないし、いろいろ悩みもあると思うのですが、「今日はどんなとどんな出会いがあって、どんな1日になるんだろう」と、楽しみな気持ちになってもらえたらいいなとはいつも考えています。こんなに楽しい仕事はないので。

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飲み会も真剣です。笑

飲食の仕事の楽しさ、素晴らしさを広めて業界を盛り上げたい

―これまでも新しいチャレンジをされてきたと思いますが、今後、やっていきたい挑戦などはありますか?

    ひとつは「FUKUOKA CRAFT」を文化として根付かせたいですね。「沖縄に着いたらオリオン」みたく、「福岡に着いたらFUKUOKA CRRAFT」となるように、文化を根付かせたいです。

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    今ももちろん楽しいのですが、もともとパブをやりたくて旅をしてきた人間が、パブだけではなく、その先にあるビール造りもして、そのビールが海外でも飲まれているシーンを想像するとワクワクしますね。

    あともう一つ。ここまで順調にお店を増やしたりしてきましたが、もう少し大きな枠で捉えると、実は今、飲食業界は、原材料不足、原材料の高騰、人件費のことなど、多様な課題を抱えていて、人気がない傾向にあるんですね。一昔前なら、アルバイトといえば、飲食店が思い浮かぶことも多かったと思うのですが、今は正社員の就職も含めて少なくなってきている傾向にあるように感じています。

    そのような状況ではあるのですが、だからこそ、飲食の仕事の楽しさ、素晴らしさっていうのを広めていきたい気持ちがあります。人が生活を営んでいく上で、飲食店は絶対なくしてはならないものだと思いますし、単に食のサービスを届けるだけでなく、もっともっといろんな取り組みをして、「飲食業を選んで良かった」「飲食業界で働きたい「自分もお店をやってみたい」といった仲間を増やしていきたいですね。

―たしかに、人に喜んでもらえるって嬉しいですよね。一方で、サービス業に慣れていないと、「どうすればお客さんが喜んでくれるんだろう?」と悩んでしまう部分があると思うのですが、そんな人にコマツさんならどのようにアドバイスをしますか?

やっぱり一番最初は、「ご両親、お友達など、自分の大事な人ならどんなことしたら喜んでくれそうか考えてみたら」とアドバイスします。

    みんなそれぞれ、大切な方はいると思うので、想像力を使って持具体的に考えてもらうと、「あっ!」と気付く人は多いですね。それが慣れてきたら、もっといろんな発想をしていって成功体験を積んでいくと良いと思います。

ー最後に、Honda Lab.メンバーにメッセージはありますでしょうか?
   
とりあえず「FUKUOKA CRAFT」を飲んでほしいですね。博多駅の近くにあるので。
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博多駅にある最新のタップルーム

その他、クラフトビールの会の企画もお願いします!

東京のイベントにも参加したく思っているので、その際はよろしくお願いいたします。


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    今回の「Honda Lab. SPOT LIGHT」では、福岡を中心に多数の飲食店を経営する松村宗孝さんの飲食業にかける想い、人への愛、お仕事に対する価値観まで様々なお話を伺うことができました。@コマツ さん、貴重なお話をありがとうございました!

今後もHonda Lab.メンバーへのインタビューを実施していきます。お楽しみに!

interview @みぃ  @Kei
Text by   @Yasuto