第三十三弾は、メディアラグ株式会社 代表取締役をされている石丸路衛氏さん(@J. )さんにお話をお伺いしました。様々な経験を経て、ハワイと日本のデュアルライフを送られている、石丸さんが大切にしている生き方、これから取り組まれたいこととは?
メディアラグ株式会社 代表取締役社長。大阪市生まれ。高校、大学時代を米国で過ごし、2001年からホノルル在住。アメリカ在学中に中古バイクの販売で起業。以後、IT事業など、複数の事業をハワイと日本で手がける。2017年6月メディアラグ社取締役就任。ハワイと日本の2拠点。
メイン事業はクライアントの「ビジネスをスデザイン」すること
ーまず最初に、石丸さんの現在の仕事について教えてください。
私の会社は、自分たちにしかない製品がある会社ではなく、主にお客様が悩んでいる課題を解決するためのサポート業務を行っており、表舞台には出ずに黒子のような役割を果たしています。大企業は縦割りの組織構造を持っており、社内で問題が発生しても、その規模や影響範囲を正確に把握するのが難しい場合があります。その中で私たちは、客観的に問題を見つけ出し、その問題に対して具体的な解決策を提供しています。コンサルティングに近い業務を行っているのですが、異なる点は、私たちは問題を指摘するだけではなく、解決まで一緒に並走するところです。問題解決のためのグランドマップを描き、ビジネスデザインを行い、正しいアライアンスパートナーを見つけ、限られた予算内でどのように対応していくかを考えることまで行っています。
業務自体はオンラインとオフラインに分かれています。オンラインでは、Webサイトの構築、基幹システムやAI連携型システムの開発、データ分析、SNSのコンテンツ生成などを行っています。オフラインでは、イベントプロモーションや展示会の出展サポート、例えば、東京ビッグサイトでの展示会、株式会社日立製作所、株式会社ソリトンシステムズ、リコージャパン株式会社、NTTグループなどの企業のプロモーションを行っています。現在、会社のメンバーは12人です。
―12名のメンバーで進められているということなのですが、複数のプロジェクトが同時に動かれているのでしょうか。
そうですね、「そんな少人数でできるの?」とはよく言われます。もちろん、全てを自社で実施するわけではありません。アライアンスのパートナーと連携します。展示ブースの設営は施工会社に依頼し、デザインも社内のデザイナーだけでなく、フリーランスのデザイナーと協力して進めています。また、展示会当日の運営サポートも同様で、現場でプロモーショングッズを配布したり、ノベルティをお渡ししたり、名刺交換やリード情報の獲得を行う人員を手配します。展示会後には、獲得したリードの集計やデータ解析も行っています。どのようなお客様が多かったのか、過去のリードとどう違うのか、展示会の内容についても分析を行い、次のステップに活用します。必要な場合には、Web・リアル両方の媒体への告知も実施しています。一連のプロセスを一気通貫でパートナーと連携しながら進めていくことで、少人数でも効率的に業務を遂行できています。
オンラインの業務も同様で、Web制作からSEO対策、サイト分析まで行い、改善のサポートをしています。デザインをシンプルに制作するだけではなく、なぜ改善が必要なのかをお客様と共有し、限られた予算内で最適な提案を行います。予算が限られている場合でも、最も重要な問題点を明確にしてお互いの相互理解を深めながら進めることを大切にしています。
プロジェクトが完了したら終わりではなくて、その後もお客様に寄り添い、PDCAサイクルを繰り返し継続しながら改善を進めています。中には5年以上、長いところでは7-8年以上付き合っているお客様もいます。
―石丸さんが会社で働く上で意識されていることはあるでしょうか。
自分のことを「雑用の代表」だと思っています(笑)。当初はもちろんいろいろやっていましたが、今では私が直接何かをする必要はほとんどないですし、やらない方がいいと思っています。私の役割は、みんなが働ける「場所」を作ること、それが一番大事だと思っています。会社が回ったら、あとはみんなが正しく業務を遂行するだけでいいんです。問題が発生したときの対応や、新規事業の立ち上げは行いますがそれ以外は、会社が十分に回っているので、私自身が会社に頻繁に行く必要はない状態です。もちろん連絡は取れる状態にはしていますが、週4休みのスタイルにしようと思い、基本的に火・水・木の3日間だけ出社しています。
【2024年ハワイ社員旅行にて】
また、会社自体、水曜日は10時から2時までの勤務にして、ランチタイムもなし。金曜日は10時から6時までの勤務です。通常は10時から7時まで働いていますが、少しずつ柔軟に対応しています。
以前は水曜日を完全にお休みにしたり、3連休にする案も考えていました。ただ、3連休になると、みんなが慣れないこともあり、だらけてしまうことが心配されましたが、それ以上に結果、休みの日(平日)にクライアントから連絡がきた際に応対をしないといけないストレスの方が多い事に気づき、半休的な方が効率が上がるとわかりました。
そのため、月曜と火曜はしっかり働き、水曜日に一息ついて、また木曜と金曜で頑張るということで、中休み的な働き方を意識しています。水曜日を完全休業にすると、お客様からの連絡が来ることも多く、結局休めない状況も発生することもあったため、水曜日は半日勤務として午後2時に仕事を終えられる形にしています。このような余裕ができる分、月曜と火曜を頑張る理由にもなるし、水曜日は「絶対に残業しない日」にしようというようなルールも自然と生まれています。
―コロナを経て、会社運営における変化はあったのでしょうか。
コロナ前は「オフとオンのユニット経営」をしていました。お互いに独立採算で運営し、売上ごとに分けていたのですが、コロナの時にオフラインのリアルイベントができなくなり、その分の売上がゼロになってしまいました。私も約30年経営に携わっているので下がる事は今までも何回も経験していますが、0は初めてでした。もう片方のユニットの売上があったため、カバーすることはできましたが、会社内に異なる文化や考え方があり、2つの会社があるような状態だったため、コントロールが非常に難しい時期でした。ただ、コロナのおかげで、無理やりではありましたが、すべてを一つにすることが、結果としてその変化は良い方向に進んだと思います。
【2023年バンコク社員旅行にて】
私は「逆境の中には、それ相応か、それ以上の大きな利益の種子が含まれている」という言葉を大切にしていて、苦しい時代に何度も救われたのですが、まさにその言葉通りのことが起こったと感じています。
また、ちょうどそのタイミングでハワイの会社を譲渡できました。現在も含めコロナ後、ハワイはまだ厳しい状況が続いていますが、タイミングや出会う人がよくて、ハワイの会社自体は、2022年頃に譲渡できたのでその点はとても運が良かったと思います。正直、私は過度に物事を論理的に考えているわけではなく、どっちかというと完全に直感で動いているのですが、振り返ると「ただ運が良い」と思うことが多いかもです(笑)。
日本とハワイのデュアルライフ。ハワイでのお仕事とは?
―今、石丸さんがされている会社は、メディアラグ株式会社様の1社でしょうか。
メインの事業は今お話しした内容ですが、それ以外にもいくつか別の事業も行っています。ハワイに拠点を持つ会社の設立・運営サポート業務、コンテンツ生成サポートといった事業やハワイ文化の一つであるリボンレイの制作教室の運営も営んでおり、ハワイではもう少し現場寄りの形で行っています。
以前、ハワイでは別の名前で事業を行っていました。その会社は現在、譲渡済みですが、現在もメディアラグ株式会社の米国法人として同様の機能を持っています。日本国内の活動と一部重なる部分もありますが、ハワイ特有の案件にも対応しています。例えば直近では私が以前、スーパーバイザー・顧問をさせていただいた会社、450名の60周年記念イベントをJTBグループと連携して運営サポートを行いました。
【ハワイで働くときの一コマ】
居場所を感じられなかった子供時代。。!そこから得たものとは?
―何事もついてると思えるようになったタイミング、または意識を変えられたタイミングがあるのでしょうか。
若い頃は、なんで自分だけこんな目に遭うんだろうと思う時期を経験しました。振り返ると、私の生い立ちなんてとてもレアだったと思います。父親は捨て子で、母親は在日韓国人で、今、そんな言葉は使えないけれど、当時私は「合いの子」として見られていました。父親なんて本当に何をしてる人かもわからないし、私自身、日本人としてのアイデンティティがよく分からなくて、そこに非常に葛藤がありました。みんなと同じだと思っている自分がいるのに、周りからは、みんなと違うと見られてしまい、それが原因でいじめに近いことも経験し、自分の中でその違いをどう受け止めればいいのか、よく分からず苦しみを感じることもありました。
みんなと一緒にいたい自分、属したい自分がいるのに認められなかったり、輪に入れてももらえない、そんな葛藤を抱えていた中、父親がアメリカ人だった影響で中学卒業後に渡米しました。アメリカへ行ったら少しはそういうアメリカ人的なアイデンティティがあるのかな、もしかしたらそこは私は属せるのかなと思ったのですが、現実はそんな甘くありませんでした。学校の98%が白人で私に対しても「なんだこいつ、中国人か?」という雰囲気でした。英語もろくに話せないし、「お前、フォークとナイフ使えるのか?お前なんかチョップスティック持ってこい」みたいなこと言われました(笑)。学校の廊下に自分のロッカーがあったのですが、自分のロッカーを開けた瞬間、中からパンパンに詰まった空き缶がザーってこぼれ落ちてきたこともありました。
今だからこそ笑い話にできるけど、当時は本当に悔しかったです。周りのことを幼稚だと思った自分もいるし、情けないと思った自分もいるし、悔しいと思った自分もいて、なんとも言えない、苦しみ、悲しみ、結局、私はどこにも属さなくてもいいんじゃないかと考えていました。その影響か、今でもどこかに属することには抵抗があり、得意ではないかもです。
【19歳の頃、ロッキー山脈でバイクツアーを実施した時】
結果的にその経験が自立心や自尊心を高め、自分で生きていくしかないという思いを芽生えさせたのだと思います。学生時代に生活費も学費も自分で稼ぐしか無い環境で金銭的に厳しい中、皿洗いやバーテン、寿司職人として働きながら生き抜きましたが、周りいたバブルの恩恵を受けた裕福な日本人の人たちとも自分を比較して、反骨心が芽生え、自分自身で金をもっと稼いでそちら側、裕福な側に行きたいと考えていました。
このような境遇に対して「なぜ自分だけがこんな仕打ちを受けるのか」と思う気持ちはありましたが、自分以外の別のものに求めるような他責な考え方は嫌だという思いがそれ以上にありました。ただ漠然と中学生の頃から社長になりたいという想いがあったこともあり、学生時代に自分の商売を始めました。人生を振り返ったとき、過去の出来事に対して戻りたいという気持ちは全くありません。酷い時期や人に騙された経験もありましたが、それらの出来事も今の自分にとっては「運が良い」と素直に思えています。
商売で大事なものは、たったひとつだけ!
ー石丸さんはお仕事でたくさんの経験をされていると思うのですが、共通して大事にされてきた価値観はあるでしょうか。
共通点は、「どの仕事でも大事なことはお客様が喜ぶこと」です。商売というものは、3つの要素に分けられます。まず、買う人、売る人、そして間で(物など)を作ってくれる人、それぞれが適正な利益を得て、適正な利益を感じている状態が重要です。もしみんなが喜んでいれば、商売は永続的に成り立っていきます。そして、この「Win-Win-Win」の精神、そのバランス感覚を持っていることが、私が30年間商売を続けられた理由だと思います。
【企業の遺伝子というラジオ番組でもお仕事について話されたときの1枚】*ラジオのバックナンバーはこちら:https://audee.jp/news/show/127795
結果的にいろんな経験を重ね、失敗もたくさんありましたが、それが全て私の財産になっています。バイク屋をやったり、ホットドッグやサンドイッチ屋をやったり、NYで犬の写真でIP関連の仕事をやったり、ハワイでウクレレを作って東急ハンズで販売したり、その木を使ってボールペンや万年筆作ったり、ハワイのお菓子を販売したり、本当にいろんな業種を経験してきました。普通の人からすると、「何でそんな事が出来るの?」と不思議に思われるかも知れません。でも、それは逆で、いろんなことを経験してきたからこそ、他者とは違うプロフェッショナルになれたのだと自負しています。
もっと明確に言うとすれば、「商売なんて皆んな基本一緒!」って事です(笑)。
―「Win-Win-Win」という考えはもちろんですが、人間関係のバランス感覚をお持ちなのかなという印象を受けました。
実はそれが非常に大事な点だと思っています。相手が、もしくは相手を信頼できるかどうか、つまり、商売をする側としては、相手がちゃんとやり遂げるか、対応してくれるか、約束を守ってくれるかがとても重要です。例えば1,000ドルで売ると決めた以上、その価格で届けるべきだし、多少損をしても約束を守ることが商売に関しては一番大事だと思います。お金はいつでも取り返す事が出来ますが、失った信用を取り戻すにはとても時間がかかります。何より、一番大事なのは時間が有限ということです。例えば、決断が遅いとその時間を無駄にすることになるし、時間のかかること自体が機会損失になります。一瞬の時間で判断する事が将来の結果に大きく影響するからこそ、決断力が必要です。
ただ、残念ながら誰も私のこと誠実だと思ってないですが。反社みたいと言われたり、人相が悪いとか、みんな言うけど(笑)。実のところ皆さん、本当は私みたいになりたいと憧れてるんじゃないかな、と思ってるときもあるけどね(笑)。
【ハワイに住む娘様と。ご家族は、みなさまハワイに在住】
―過去も含めて失敗で落ち込まれることは、ありますか。その際は、どのように気持ちを切り替えられていますか。
多くの人にとって、失敗経験がメンタルブロックとなることがあります。その場合、失敗を想像するのではなく、「成功したらどうしよう」と考える方がいいと思います。「運が良い、運が悪い」の話と一緒だと思うのですが、例えば成功と失敗は、どちらも50%50%のフラットな確率だとします。それなのに多くの人は9割は負けるんじゃないかとか、借金まみれになってしまうかも、と否定的に考えてしまう人が多い印象です。もし失敗を想像する事が出来るのであれば、逆に一度、もしかして9割勝つかも、、、って考えてみても良いかもしれません。そもそもやる前に失敗も成功もわかるはずもなく、そんなところで思考停止するよりも、成功を想像する方がよっぱど前向きで健全だし、これは誰でもできることだと思いますよ。
自分自身も含め、どんな人でも頭の中で葛藤してると思いますが、結果的に自分で自己暗示をかけて悪いことを考えてしまうことがあるのではないでしょうか。けれど、実際に97%はそんなこと起こらないというデータもあるので、失敗ばかりに集中するよりも成功した時のことを考えた方が絶対にポジティブで楽しいし、よっぽどワクワクできるでしょ(笑)。
みんな、会社を作る際に「お金がないとダメだ」とか「人脈がないと無理だ」とか、いろんなことを理由に挙げて悩んで、結局は諦めてしまうことが多いですよね。でも、正直そんなのは、全く関係なくて、自分にできることから始めればいいと思います。事業を始めるために特別なものは必要なくて、少しずつでも自分にできることからスタートして、感覚を養いながら進めばどんな状況でも商売を成功させることができます。
また、商売は自分の考えを証明できる場所でもあり、例え失敗したとしてもその全てが経験になり、次への糧になります。だから、やらずに頭の中で商売を考えていると、結局、何もできなくなって、頭でっかちになります。「考えるより動け」という考え方がとても大事で、動いてから考えても遅いことはないという事が、私の実体験です(笑)。
ー決めるときの判断基準はありますか。
「やるかやらないかで悩んだら、やったほうがいい」というのが基本姿勢です。これは、私の座右の銘に近い考え方でもあります。なぜなら、世の中失敗しても命まで取られることはないからです(笑)。
例えばですが、会社に突然「アフリカのザンビアに行ってみませんか?」なんて言われたら、最初は驚くかも知れません。場合によっては、もしかしてこれ左遷?だと思う人もいるかもしれません。けれどよく考えてみると、会社のお金でそんな経験ができるなんて、非常にチャンスだと思いませんか?
私自身、誰も知らない、仕事も無い、お金もない中、ニューヨークやハワイに行ったときは、そんな気持ちで挑戦しました。そして、今回、先代が急逝し、会社を引き継いだ時も同じです。借金が2億円以上ある会社で、会社の口座残高が6万円しかない状況で、そして100%の人が反対する中で、会社を引き継ぎました。大体そもそも自分が作った借金でも無く、亡くなった社長の家族が路頭に迷うかもしれない、そして自分の家族も借金を背負わなければならない、そんな状況下で、誰がそんな会社引き受けますか?まー普通はそんな奴はいませんよね(笑)。
でも、私はやると決めました。その理由は先述した通りで、私は「逆境の中には、それ相応か、それ以上の大きな利益の種子が含まれている」というを知っていて、これだけ反対する人が多いって事はそこにチャンスが秘めてると確信したからです。そして仮に失敗したところで全て経験になるとも知っていたから、2秒ほど悩んだだけです。
【ハワイ自宅でBBQ】
別の側面から回答すると、世の中で本当にやりたいことが明確に分かっている人なんて、実はそんなにいないんじゃないかと思っています。大学を卒業する人や成人式を迎えた人に、「何になりたいですか?」と聞いたときに、具体的に答えられる人は、1割か2割いるかどうかではないでしょうか。正直、何となく周りやメディアに影響されてる方も多いのではないかと想像します。独立することが正解で、サラリーマンが間違いということではなく、生き方の話なので、自分が生きたいように生きられるなら、サラリーマンをやるのがいい人もいると思います。
ただ、「やりたいことがわからない」という時、私はいつも「消去法」を使っています。例えば、タイムカードを押したくないとか、コンビニで働きたくないとか、トイレ掃除の仕事はやりたくないとかです。私の場合タイムカードを押して仕事を始めるのが、地獄のように感じてしまい、どうしても我慢できないものでした。「やりたくないこと」を考えた結果、最終的にやはり社長になるしかないというところに行き着いたわけです。仕事が何かではなく、有限である時間を自分自身でコントロールするには、社長になる事しか自分には見つける事が出来ませんでした。仕事も同じで、やりたくないことが分かっていると、仕事に対しての向き合い方が変わり、それ以外ではあまり恐れず、踏み入れた事ない領域でも「やってもいいじゃん」という判断ができます。
―他に大切にされている言葉はあるでしょうか。
「人間は3つのタイプに分類できる」という考えがあります。
1. 現状の環境に不平不満を持つ人
2. 環境の変更(転職・移住など)で解決を図ろうとする人
3. 現状の環境を能動的に改善していく人
多くの人は、時として現状に不満を感じることがあります。それは自然なことで、「自分は頑張っているのに、周りのせいでうまくいかない」と考えがちです。しかし、他者や環境のせいにしても状況は改善しません。そこで次に考えるのが「環境を変えれば解決する」という発想です。確かに、職場での深刻な問題や虐待など、環境を変えることが必要な場合もあります。ただし、多くの場合、問題の本質は環境そのものにはないと考えられます。環境の変更を検討する際は、まず以下を自問自答することが重要です。
- その変更は本当に必要なのか
- 問題の本質は環境にあるのか
- その決断は状況を改善するか
なぜなら、人間関係や組織の基本的な構造は、場所が変わっても本質的には似通っているからです。そのため、最も重要なのは、今ある環境の中で改善を図る姿勢です。この能力を身につければ、どのような環境でも成功への道を切り開くことができます。これは単なる環境適応ではなく、主体的な環境改善の姿勢を説いています。この考え方は、個人の成長と成功につながる重要な要素となると考えてます。
今したいことは、「遊び」?!これからの時間の使い方
―今後プライベート、仕事で取り組んでいかれたいことについても教えてください。
今年から、基本的には「もっと遊ぶ」ことを意識しています。具体的には、バイクと音楽、特にウクレレ等、個人でできる楽器に挑戦しようと思っています。後はモロカイ島とオアフ島間にあるモロカイ海峡をカヌーで渡るレースがあり、それに挑戦したいと言う感情が芽生え始め、それには体調管理が大きなテーマの一つです。最近は運動が思っていたようにできていないため、自分の身体が資本だと思うので、健康を考えることを最優先に考えています。これらが今後の目標です。
【10代後半にアメリカ・カナダをバイクで走っていた頃】
仕事においては、私自身は雑用でもなんでもよくて、みんなが必要であるときに手助けできればそれでいいと思っています。これはただ単に会社に行って8時間机に座るという意味ではなくて、今までは頭の中が24時間、仕事のことを考えている状態でした。経営者の方は多いと思いますが、その状況自体は楽しく、仕事以上にゲームみたいな感覚です。シンプルに言えば、商売ってコイン集めみたいなもので、どれだけコインを集められるのか、どれだけ効率よく集められるかが一つの指標になっていて非常に楽しいと思っています。
ただ、人生80年くらいだろうと考えている中で、53歳になってもう半以上過ぎたので、今は時間を無駄に使うのではなく、時間の浪費を避け時間の消費と時間の投資を意識しながら過ごしていきたいと思っています。
食事や睡眠時間、トイレに行く時間、風呂に入る時間といった必要な消費時間はありますが、ジムで体を動かしたり、音楽を聴いたり、本を読んだり、好きな人と過ごしたりする浪費の時間を効果的に使う使い方を追及していくことが、今後の自分にとって大事なことだと感じています。それを実行に移すために、今年からは会社を週の金曜から月曜まで4日間は休むように決めました。これから会社以外のことについてトライしていく予定ではあるけど、実際どうなるかはまだ模索中です。
―人との交流についての考え方に変化はありましたか?
人と会うことは以前に比べてそこまで優先事項ではなくなってきました。これまでは週7日会食が続くような日々で、たくさんの人と会っていました。その経験自体は刺激的でしたが、忙しいだけで、深い意味や成果が得られるわけではなかったと感じることもあります。今は一人一人の関係を掘り下げていきたいと考えています。ありがたいことに、最近では向こうから「会いたい」と言ってもらえる機会も増えてきたため、これまでは自分から積極的に動いていましたが、今はそれを少し控えめにして、必要な時だけ自然と関係がつながる形が理想かなと考えています。
人とのつながりが何よりの素晴らしさ!それがHondaLab
―石丸さんがラボに入って変化したことはありますか。
全くないよ!って言ったら、怒られるね(笑)。でもやっぱり良い出会いがたくさんあったことです。今まで会わなかった人、会えなかった人たちとのご縁は、本当に素晴らしいもので、とても貴重な機会だと思います。同じ時間を一緒に過ごすことができていることに感謝しています。
【ハワイでのオフ会】
―Honda Lab.の方にメッセージをお願いします。
こうやってご縁があって出会ったことってすごく良いことだと思いますが、だからと言って、自分を変えてまで無理にどこかに属する必要はないし、無理やり意味を見出す必要はないと思っています。ましてや周りがそうやってるから、同じように自分もやらないといけないかもなんて愚の骨頂で、団栗の背比べはもっての外です。それは、ただ単にやめろという意味でもなく、誰かの真似ではなく、最終的に自分の生きたい生き方を見つけて、自分の本能に従い、自分らしく生きていけばいいと思っています。
人生は本当に短いから、そういう意味では、ナオさんも言っていた「人生は壮大な実験」という言葉に賛同しています。人の評価、他人の目を気にしてる暇なんか全くないし、限られた時間の中でやりたいことをどれだけ実現できるか、逆に言えば、やりたくないことをどれだけやらないかが人生で重要なので、迷っている暇なんてないというのは伝えたいですね。
少しだけ真面目な話をすると、自分が死ぬときに今より綺麗な地球環境を子供たちに残してあげたいと思い、SDGsの活動にも積極的に取り組んでいます。この2年間で約1000万円ほど寄付をする事が出来ました。その活動がパタゴニアに認められ、パタゴニアProの一員として認定されました。SDGS活動の一環として海や川での清掃活動についてブログにも書いているので、知って貰えたらうれしいです。その上でもしラボのメンバーで人生について、または髪型?!についてお悩みの方がいればいつでもご連絡ください。一瞬で解決するかもです(笑)。
【会社メンバーで援農ボランティア・稲の収穫に】
他にも月1の河川敷でのゴミ拾い・ビーチクリーニング活動が今ではパタゴニアのプロセールス・プログラムにも認定されている *1%forthePlanet:https://www.patagonia.jp/one-percent-for-the-planet.html
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今回の「Honda Lab. SPOT LIGHT」では、ハワイと日本を行き来し、SDGsの活動にも取り組まれている石丸路衛さんの幼少期・商売の考え方・そしてこれからの時間の使い方についてまで、たくさんのお話をお伺いさせていただきました。
@J. さん、貴重なお話をありがとうございました!
今後もHonda Lab.メンバーへのインタビューを実施していきます。お楽しみに!
interview・ Text by @みぃ