第五弾は事業家、投資家、レストランオーナーである、Seki Yasujiさん(@Jay さん)にお話をお伺いしました。

Yasuji Jay Sekiさんプロフィール

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シンガポール在住。レストランバー @20〜At Twenty〜開業しました。 投資会社、エンジェル投資、リサーチ業/シェアオフィス運営/飲食店運営、元シンガポール国際企業庁シニアマーケットオフィサー、元在京シンガポール大使館商務部商務館、ワインLover、ウクレレ弾き。

中国で起業。そしてシンガポールへ。

    もともと海外で仕事をしたい、特にアジア圏内で仕事がしたいという想いはありました。大学まではスポーツに熱中しており、あまり勉強もしなかったのですが、いろいろ縁で公益法人に勤めまして、鞄持ちみたいな形で中国をはじめ、アジアの国々に行かせていただいたんです。その際、そこで出会った発展途上国の政府の高官の方や、さまざまな方を見て、特に中国のポテンシャルに圧倒されました。それで勤め先を辞めて、大学院に行き、大学院の修士課程で知り合った中国人と、27歳か28歳のときに、中国で起業をすると決意しました。
   
    当時、「中国台頭」とか「中国脅威論」といった言葉がメディアを賑わせていて、オリンピックや万博を前にして、すごくポテンシャルがあるなと感じたんですね。ただ、上海暴動の時期あたりから、どれだけ一生懸命やっても、政治的な要因からうまくいかないことが続いたんです。ただ、華人とやっぱり商売がしたいという想いはあったので、シンガポールか香港にチャンスを求めていました。いろいろ探しているうちに、さまざまなご縁が重なって、シンガポールの政府の省庁に勤めることになったんです。

    インターナショナルエンタプライズシンガポール(シンガポール国際企業庁)と言って、シンガポール企業の所謂対外投資、海外進出を支援する組織でした。そしてもう一つ、同じようにシンガポールの対内投資を支援したり、シンガポール企業の海外の進出を支援するEDB(経済開発庁)とも働いていました。日本や韓国といった東アジアを担当する役職になりました。東京のシンガポール大使館にも在籍しながら働き始めたのが、シンガポールの始まりですね。

    2011年にその仕事を辞めて、「クロスコープ」というレンタルオフィス事業を約10年ほどやりました。


     そのときは、不動産を結構な額で借り、そこを小分けにして、今のコワーキングスペースのシンガポールの先駆けみたいな形でやっていました。実際に600〜700社ほどのたくさんの日本企業さんが使っていただいて、シンガポールでのスタートアップのお手伝いもしながら現在に至ります。今は、小さなレストランや、リサーチのサービスみたいなのもやっています。ずっと海外でいろいろとさせていただいているという感じです。
    
    大学院に行っていた時、「日本は中国に絶対勝てなくなるだろうな」という予感があり、何とかこの勢いを取り込みたいなと考えていました。でも、当時はきちんとした情報もなく、中国に行っても、怪しい人たちがよってきて、お金を騙し取られたこともありました。

    だからこそ、シンガポールでレンタルオフィス事業をする際は、ただのレンタルオフィスではなく、オフィスを貸すだけではなくて、サポートもする「インキュベーションオフィス」という形でサービス利用として契約をしていただいていました。オフィスを契約してもらえる会社で、自分が付加価値を与えられそうな事業に関しては、出資もさせていただいて、一緒に事業をやることもありました。

    クロスコープを運営しているソーシャルワイヤーは2015年に上場をしました。他にも様々なスタートアップに参画させていただいたりしています。日本の投資会社にも関わっていまして、プライベートファンドとして、多種多様の案件のソーシングなどもしていました。

    コロナになって、「最後のフロンティア」だと思って、ミャンマーのフードデリバリー会社にもエンジェル投資をはじめました。ミャンマーにはブラグやフードパンダがあるのですが、そういった企業にも拮抗するようなシェアを持っているので、何年か手伝って、売却できないかなと考えていました。ですが、まさかのクーデターが起きてしまって、無期限停止状態になってしまっています。コロナも含めて、この数年、様々なことがあって、だいぶ生活が変わりました。職業を一言で表すのは難しいですね。





シンガポールの飲食店を日本へ出店


チキンを紙で包んで、それを油で揚げて、開いて食べるのが、”ペーパーチキン”です。

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”ペーパーチキン”は、日本の商社や、駐在員の方が支持してきた名店「ヒルマンレストラン」の名物でもあります。今から5,6年前に大阪に3店舗出店し、現在は難波店だけが残っています。

    食に関しても様々なことをやってるので、食品、飲食企業の専門と思われがちなのですが、そういうことでもないんです。ただやはり、この10年ぐらいは日本の食品メーカー、飲食店のお手伝いをすることがすごく多かったですね。
   
    あとは、もともとシンガポールの飲食店を日本に出すこともやっていました。一つの成功事例としては、それでうまくいったのが『TWG Tea』というティーサロンです。

    シンガポールに来たことがある方はご存知だと思うのですが、今シンガポールで一番有名な高級ティーサロンです。そのティーサロンを自由が丘などに出店しています。次期に、スターアライアンスグループのビジネスクラスでも今はそのお茶が使われています。

自ら飲食店を経営。隠れた宝物をシンガポールから発信

これまで食のコンサルを長年してきたいたのですが、やはり自分で店を持って、自分で食材やお酒を買わないと、アドバイスが浅くなると思って、小さなレストラン「AT TWENTY」をはじめました。

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     こうした場を設けることで、事業者の方や食品メーカーさんも真剣に話してくれるようになったように思います。日本の食材やお酒類など、隠れた宝物のようなものをこれからどんどん見つけていき、光を当て、シンガポールをはじめ、東南アジアの人に知っていただく場所にしたいと思っています。

    一番はじめに取り組んだのは、気仙沼の『ブラックタイド』というビールのブリュワリーです。
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    ここでは、今も掘っ立て小屋のような所で、アメリカ人のジェームズさんがビールを造っています。すごく良いストーリーだなと思ったのが、ビール造りを始めたところに震災の復興で来たボランティアの若者たちがそのまま住み着いて、ビール造りのお手伝いをしています。そして、シニアの人たちがお金をハンドリングして、そこで良いコミュニティーがつくられているんです。そんなストーリーに感化されて、私のレストランでも缶ビールを扱っています。きちんと説明をして、ビールを出すと、皆さん喜んでくれて飲んでくれています。

    それ以外にもアートも飾ってあって、日本人の全然名の知れてない方が描いた絵がシンガポールの方に約80万で売れました。本当に様々なイベントができ、たとえばアロハシャツなんかも貼ることもできます。お店にあまり色をつけないで、いろんなものにしたいというコンセプトで今やっています。ギャラリーであり、レストランであり、いろんな場所に変えられる場所としてやっていきたいと思っています。
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    日本のお酒や絵や食器は、クオリティの割に世界では安く売られすぎているなと思っているので、この場所を通して、評価されたものが東南アジアに広がっていくようにしていきたいと思っています。

シンガポール移住と生活のリアル

    シンガポールに移住したいとなると、やはりビジネスをしていないと大変だと思います。ハワイと同じように物価が高いですし、生活費も高いです。もし、お子さんをインターナショナル校に入れるとなると、すごい額になります。芸能人の方が「シンガポール移住しました」と言っていますが、実際は「移住」というよりも、一時的にいるような感じの方のほうが多い印象です。
    
    食べ物は、フードコートで食べれば、安くは済みますが、さすがに毎日通うのは難しいので、ちょっとしたところに行くとやはり一人数万円万円はかかってしまいます。家賃も高いです。外国人向けのコンドミニアムも、高騰していますね。

    コロナ感染者数も増えていることは増えてはいますが、これから大きなイベントをどんどんやる予定なので、前みたいに後退するっていうこともないと思います。

    今、シンガポール人に聞くと、一番行きたいところ=日本なんですよね。円安で安いので、とにかくみんな日本に行って買い物したい、何か食べたいと思っている人が多いです。いますので。シンガポールもそうですし、その他の周辺の東南アジアもそうなので、本当に早く、開国していただいて、インバウンドでたくさんお金使っていただいて、日本の経済の復興の一種になれば良いなと思います。





次の10年、20年に向けて。

    一生シンガポールにいようとは思っていないんです。今関わっている事業を続けていくと共に、次の拠点を物色しています。

    まだ見に行ってないですが、ヨーロッパのスペインあたりは考えています。あとは、なんだかんだ、日本は良いなって最近思っています。最終的には日本に戻るのかなという気もしないでもないです。あと10年ぐらいは、シンガポールを拠点にいろいろやって、どこか移ろうかなとは思っています。
    
    やはりどこかの一つの拠点に縛られたくないので、常に動けるようにしておきたいなと。良いところがあれば転々としていくって感じでしょうか。

政府が注力する分野での仕事ならビザ取得のチャンスあり

今後シンガポールが、国としてどういう方向性に向かわれている感じを持たれているか、もしお考えがあれば教えていただければと思いました。

    シンガポールは小さな国ですので、いろんな国と関わっていくことで成長してきた背景があります。あと、外資をたくさん受け入れてきたっていうのはありまして。今、外国人に対するビザの規制は厳しくなっていますけれども、シンガポール国民が持ってないような新しいテクノロジーなどに携わっている人は、これからも受け入れていくと思います。

    毎年、シンガポール政府は、重点的に注目する業種とかビジネスの情報を公開しています。たとえば少し前は、航空宇宙産業、フードテック、エデュテックが挙がっていました。
そういう分野に携わる人たちはどんどん受け入れていきますし、そういったものを開発できるような環境を与え続けていくと思いますので、そこに関しては変わらずたくさん人は受け入れていくのかなと思います。

    たとえば飲食業をはじめとして、シンガポール人でも出来るものに対してのビザ規制は引き続き強くなると思います。もし、シンガポールで働きたいと思うのなら、シンガポール政府が注目するような業種業態のなかでチャレンジしていくのがいいとは思います。

    観光産業もシンガポールの大きな産業の一つなので、どんどん観光客を受け入れていくと思います。F1をはじめとして、様々なイベントも開催され、誘致も活発になってくると思います。実は、F1の裏でビジネスの商談が行われていることもあるので、今後も、イベントは活発になってくると思います。

シンガポールのWeb3とトライアスロン事情について


フィンテック関係のベンチャーをやっていまして、二つ聞きたいことがあって、一つ目が、今、シンガポールがクリプトに関する技術の開発をやっているということでした。日本のWeb3のエンジニアがシンガポールに大挙して向かってるんですけど、そこらへんの状況を是非シェアしていただければ嬉しいです。

    Web3のエンジニアの方たちって、私もちょっとその分野の専門ではないんですけども、明らかにですね、そういった方たちがもう本当に一〇〇人単位で今来てるという感じは肌感覚ですごく感じますし。私のやってるお店にもそういった方たちが夜九時ぐらい、若い人たちですね。来てワイワイやったりしてますので。おっしゃるとおり、それはもう間違いないですね。はい。これからもたぶんどんどんそういった方っていうのは、今一番移住者としては多い感じがしています

ーもう一つの質問です。トライアスロンをラボの人たちとやっています。シンガポールも自転車に注力してらっしゃるということで、そのあたりの話を少し聞かせていただければなと思います。

    トライアスロンに関しては、ただ、シンガポールは海が汚いです。(笑)なので、スイムがないバイアスロンもあります。また、シンガポールはちょっとした山も多いので、自転車にも適した場所だと思います。15年ほど前に来た時は、外でランニングしている人はあまり見かけませんでしたが、今スポーツが盛んでたくさんの人が走っています。スポーツ関係健康産業は、需要があって、ものすごく伸びている印象です。ドクターストレッチさんもシンガポールで大成功しています。

    人種に関係なく、みんなスポーツはやりますね。私は草サッカーを毎週やっていますが、マレー人も、ローカルの人たちもいます。あとは日本人や中華系の人はあまりやりませんがインド系の人だと、クリケットをすごくやっている印象です。その他にも、タッチラグビーとかですね。激しく当たらない「タッチラグビー」もすごく流行っていますね。ただやはり、シンガポールがスポーツで成功していくってなかなか難しくて。前のオリンピックのときに、スクーリングさんが、水泳で初めて金メダルをとったんですが、国籍がシンガポールだけで、ほぼアメリカにいる方でした。

    少し前にシンガポール人の若い子が、サッカーのプレミアリーグから声がかかったそうなのですが、徴兵があるため、行けずじまいでした。国の中でも、若者の一番いい時期に、徴兵で時間をとられてしまうはどうか、といった議論も起こりました。

シンガポール周辺の島もオススメ

    あまり知られていないかもしれませんが、シンガポールから気軽に行ける範囲で良い場所はたくさんあります。マレーシアのティオマン島、インドネシアのビンタン島、バタム島などは、船でサッと行けたりします。すべてシンガポールを拠点に回るのがおすすめですね。今はシンガポールエアライン、ANA、JAL以外にも、ジップエアーやスクートも飛んでいます。ぜひ、シンガポールにも来ていただけると嬉しいです。

interview   @Nao   @Tomoya
Text by      @Yasuto
Support     @みぃ